第5回SAGAシンポジウム
『リエゾンとしての動物園』

SAGAはこれまで、その理念として次の3点を掲げてきました。

1) 野生の大型類人猿とその生息域を保全する。
2) 飼育下の大型類人猿の「生活の質(QOL)」を向上させる。
3) 大型類人猿を侵襲的な研究の対象にせず、非侵襲的な方法によって人間理解を深める研究を推進する。

理念の実現を目指して、これまで4回のシンポジウムでは、環境保全、動物福祉、亜種の取扱いといった観点からの議論がおこなわれてきました。こうした議論を現実的でかつ持続的なものにするためには、研究者や飼育関係者といった直接的に関りを持つ者ばかりではなく、私たちの考えや活動を広く社会へ浸透させ、さらには根づかせる働きかけが必要です。

 市民と"野生"を結びつける「メディア」として、動物園は重要な意味を持っています。つまり、市民が類人猿をはじめ多くの野生動物とのよりリアルな関係を体験できる場は動物園であり、またそれは「環境問題」や「動物福祉」に対する関心を引き出せる場でもあると言えるでしょう。SAGAの理念を実現するためには、動物園は不可欠な存在であり、より良いものにする工夫が必要です。
動物園は、市民と動物をつなぎ、動物と自然をつなぎ、そして市民と自然をつなぐ「リエゾン」であるといえるでしょう。この機能を強化していくことは、SAGAの理念を現実のものとするためにも必要なのではないでしょうか?
そこで、今回のSAGA5ではこの「リエゾンとしての動物園」に注目し、その教育的役割の可能性と展示手法という視点から見ての環境エンリッチメ ントについて検討したいと考えています。

 具体的には、以下の2つのパネルディスカッションを予定しています。
『教育の場としての動物園』では、動物園での教育活動としてどのような実践があるのか、また教育の現場での動物園利用はどのように考えられているか、さらに研究者の責務としてどのような働きがあるかといった点について報告してもらい議論を進めていきたいと考えています。
『展示手法として環境エンリッチメント』においては、動物園で実践されているエンリッチメント・プログラムの紹介、さらにそうしたエンリッチメントが展示ないし教育的効果としてどのような働きをもつか、また研究者の視点から見た動物展示あるいはその手法に対するコメントをもとに議論を進めていきたいと思います。
それぞれのセッションには、外国からスピーカをお招きしています。『教育の場としての動物園』にはC. アンドレさんをお招きしました。彼女はアフリカでサンクチュアリの活動を行っています。その活動の概要を報告していただくとともに、サンクチュアリでの環境教育活動についてもお話していただきます。また、『展示手法として環境エンリッチメント』にはD. シェパードソンさんをお招きしました。彼は、動物園でのエンリッチメント活動の先駆者的存在でもあります。
これら2つのセッションの後、全体を踏まえた総合討論をおこなう予定です。


 

SAGA5 プログラム
<9:15~11:40>  『教育の場としての動物園』  4Fフロイデホール
司会:五百部裕(椙山女学園大学)

パネリスト

小田泰史(蒲郡市立形原北小学校)
金森正臣(愛知教育大学)
山本茂行(富山市ファミリーパーク)
C. Andre

<12:50~14:10> ポスターセッション  2F多目的研修室
<14:20~16:40> 『展示手法として環境エンリッチメント』 4Fフロイデホール
司会:上野吉一(京都大学霊長類研究所)   

パネリスト

黒鳥英俊(東京都多摩動物園)
古市剛史(明治学院大学)
若生謙二(大阪芸術大学)
David Shephardson (Oregon Zoo)

<16:40~17:35> 総合討論
司会:友永雅己(京都大学霊長類研究所)、中村美知夫(日本モンキーセンター)
<17:45~18:25> 『保全について』  4Fフロイデホール
司会:松沢哲郎(京都大学霊長類研究所)

パネリスト

Richard Wrangham (Harvard Univ.)
Tim Laman(写真家)

<18:30~20:30> SAGA/COE合同 懇親会 2F多目的研修室

 

 
ポスター発表

11月14日(木) 12:50-14:10

SAGA P-1. チンパンジー飼育担当者が観た、野生チンパンジー

久川智恵美

SAGA P-2. チンパンジーの同居の途中経過報告:人工哺育のメス(4歳)と自然哺育のオス(9歳)の場合

江草真治

SAGA P-3. 国内チンパンジーの長期繁殖計画のための人口動態調査(予報)

鵜殿俊史・篠田謙一・吉原耕一郎

SAGA P-4. チンパンジーの移動直後の事故

寺本研・後藤学・小林久雄

SAGA P-5. チンパンジーにおけるフェンベンダゾールの蟯虫駆除効果

江見美子

SAGA P-6. 飼育下の子どもチンパンジーにおける食物の嗜好性

不破紅樹・平田聡・伊谷原一

SAGA P-7. 飼育下チンパンジーにおける有毒植物回避の長期学習

洲鎌圭子・森村成樹・不破紅樹・関根すみれな・平田聡・伊谷原一

SAGA P-8. 飼育下コドモ・チンパンジーのオスの社会関係

堀健一郎・伊谷原一

SAGA P-9. チンパンジーとヒトにおける異種間コミュニケーション

田中理紗・不破紅樹・森村成樹・関根すみれな・平田聡・伊谷原一

SAGA P-10. シロテテナガザル幼児(4歳未満)の発達

井上悦子・井上陽一

SAGA P-11. シンガポール動物園における展示・飼育手法

桧垣小百合・親川千紗子・熊崎清則・上野吉一

SAGA P-12. シンガポール、ナイトサファリにおける動物の展示・飼育手法

親川千紗子・桧垣小百合・熊崎清則・上野吉一

SAGA P-13. 最も近くにいるのは誰?チンパンジーのニアレスト・ネイバーの発達的変化

兼子明久・小林真人・小野篤史・中山奈美・田中紫乃・松沢哲郎

SAGA P-14. グルーミングを通して見たチンパンジー・コミュニティの社会的関係

小野篤史・松沢哲郎

SAGA P-15. 「マンゴーはどこへ行った?」
―チンパンジー個体間の相互行為の文法分析―

中山奈美・松沢哲郎

SAGA P-16. アユムの1日:チンパンジー幼児の行動の終日追跡記録

松井響子・河本新平・松沢哲郎

SAGA P-17. MRIで見たチンパンジー幼児の脳の発達

三上章允・松井三枝・西村剛・田中正之・友永雅己・松沢哲郎・鈴木樹理
加藤朗野・松林清明・後藤俊二・橋本ちひろ

SAGA P-18. 色弱チンパンジーの網膜応答

三上章允・斎藤慈子・伊藤真一・小川尚・寺尾健一・小池智・大西暁士・竹中修
寺本研・鵜殿俊史・江見美子・小林久雄

SAGA P-19. 色弱チンパンジーの色覚検査

齋藤慈子・三上章允・長谷川寿一・鯉田孝和・寺尾健一・小池 智
大西暁士・竹中 修・寺本 研・森 裕介

SAGA P-20. 日本の類人猿飼育の現状

赤見理恵・倉島治・落合(大平)知美・吉川泰弘・平井百樹・松沢哲郎・長谷川寿一

SAGA P-21. チンパンジー等の研究資源に関するフィージビリティスタディ
-ナショナルバイオリソースプロジェクトの紹介-

倉島治・赤見理恵・落合(大平)知美・吉川泰弘・平井百樹・松沢哲郎・長谷川寿一

SAGA P-22. 市民ZOOネットワークの活動紹介

大橋民恵・赤見理恵・落合知美

SAGA P-23. 情動刺激に対するチンパンジーの反応

小室まどか・橋彌和秀・小林洋美・寺本研・長谷川寿一


TOP