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要旨集

前文

歓迎の言葉

プログラム

特別講演:ジェーン・グドール博士

ジェーン・グドール博士によるルーツ&シューツ

口頭発表要旨
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ポスター発表要旨
1-39 (268KB)
40-73 (272KB)

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 「進化の隣人」と題した本シンポジウムの目的は、われわれ人間にとって進化の隣人と呼べる大型類人猿についての科学的理解を深めることにあります。さらに、科学的に理解するだけでなく、野生での保護活動ならびに飼育下での動物福祉を推進することがその目的です。本シンポジウムは社会に開かれたものであり、どなたでも参加できます。こうしたシンポジウムの実現にあたり全面的なご支援を賜った林原グループ(林原健社長)に深く感謝いたします。「林原フォーラム2001」と「第4回国際サガ・シンポジウム」という両者の性格を兼ねたものとして、このシンポジウムは企画されました。サガ(SAGA)は、「アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い」の英文名の略称です。1986年、チンパンジー研究者がシカゴに集って、フォーシーズ(CCCC:チンパンジー保護愛護委員会)を結成しました。その精神を受け継いで、対象を大型類人猿に広げ、研究者だけでなく広く一般に参加を呼びかけたものがサガだと言えます。
 大型類人猿とは、チンパンジーとボノボとゴリラとオランウータンのことで、進化の隣人といえる存在です。過去数十年にわたってさまざまな研究がなされ多くの証拠が見つかっているのですが、人間と現生の大型類人猿とを隔てている距離は、かつて想像されていたものよりはるかに小さいことがわかっています。野生個体群に関する長期継続研究が進むに連れて、人間と大型類人猿とのあいだに引かれた溝はどんどんと埋まってきました。両者のあいだの相違は、本質的な質的相違ではなく、たんなる量的相違でしかないと言えます。
 本シンポジウムには、野生の研究者も実験室の研究者も参加しています。研究者だけではありません。動物園で彼らの飼育に携わる方々、NGOやNPOに属して野生保全や動物福祉の活動を進めている方々、さらにそれ以外の広い分野の方々が参加しています。参加者に共通しているのは、進化的視野にたって人間と大型類人猿を理解しようという点です。こうした参加者のあいだで、さまざまな情報交換を積極的におこなう絶好の機会と言えます。さらに、本シンポジウムは、後述する重要な「行動指針」を普及する一助になると確信します。
 最近の人間の諸活動によって、大型類人猿に属するすべての種が存亡の瀬戸際に追い詰められています。いわゆるワシントン条約(CITES)において、大型類人猿はすべて「絶滅の危機に瀕した種」に分類されています。飼育下では、多くの個体が、本来の彼らの暮らしとは隔絶した貧弱な環境で飼育されています。また最悪のばあいとしては、生物医学等の研究施設で実験に供されているものがいます。そしてウイルス病や遺伝子治療の研究のために侵襲的な処置が施されているものもいます。侵襲的研究に大型類人猿を供することについては、厳しい制約が科されるべきです。こうした諸問題を通じて、わたしたちは1998年に「サガ・アジェンダ」と呼ぶ以下の行動指針を掲げました。そして現在に到るまで、上述の状況の改善を求めて不断の活動を継続しています。以下がその行動指針です。

第1に、大型類人猿ならびにその生息地の保全のための活動をおこなう。
第2に、飼育下の大型類人猿の「生活の質(QOL)」を向上させるよう努力する。
第3に、大型類人猿を侵襲的研究の対象とせず、非侵襲的手法による科学研究によってかれらへの理解を深める。

 上記の目標を達成するにあたって用語について定義します。「侵襲的」という用語は、「正常な機能を不可逆的に損なうような処置」を指しています。手短に言えば、非倫理的な処置すなわち人間を対象とした場合に禁止されているような処置は、大型類人猿に対しても禁じられます。この行動指針をもとに、野生における生息域の破壊の進行を阻止し、飼育下における福祉の向上を図り、大型類人猿を侵襲的研究に使用することを禁止したいと考えます。さまざまな背景をもつ広汎な人々が協力してこそ、野生での保全のプログラムを支援したり、飼育下での適切な環境を開発することが可能になるでしょう。本シンポジウムが、21世紀における大型類人猿の暮らしをより良いものにする第一歩になることを切望します。

林原フォーラム2001/SAGA4
組織委員長 松沢哲郎


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